あなたのおかげ、きみのおかげ

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今日は検査の日。財布の中にずっと入れていた伊勢神宮のおかげ犬。大切な人から託された大切なお守りが、昨日、ふとファスナーに引っかかって顔をのぞかせた。ほんの小さな偶然なのに、まるで「ここにいるよ」と語りかけてくれたようで、検査を控えた自分の心に深く響いた。胸の奥がじんわりと温かくなった。

おかげ犬とは、江戸時代に飼い主の代わりに伊勢神宮へ参拝したと伝えられる犬のことだ。病気や貧しさで参拝できない人々の願いを託され、道中で出会った人々に助けられながら旅を続けた。首に道中費や手紙を結びつけられ、餌や宿を与えられながら伊勢へ辿り着き、無事にお札を持ち帰ったという話も残っている。人々の善意に支えられ、願いを果たしたその姿は「おかげ」の象徴であり、今も縁起物として親しまれている。

そんな由来を思い出すと、財布に引っかかった小さな犬は、会えない大切な人に感謝を伝えるために、わざわざ姿を見せてくれたのだと思う。ただの偶然ではなく、忘れてはいけない感謝を思い出させる合図のように感じられる。

「あなたのおかげ」「きみのおかげ」その言葉は、特定の誰かだけでなく、これまで出会ったすべての人に向けられている。支えてくれた人、離れていった人、時に傷つけた人、そしてこれからまた出会う人。そのすべてが、今の自分を形づくる「おかげ」なのだ。

財布の隅で立ち止まった小さな犬は、偶然を必然に変えてくれた。昨日の私も今日の私も未来へ繋げる記録として、この出来事を書き残す。

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