朝はただぼーっとしていた。
10時まで、本を開いては閉じることを繰り返していた。
ふとスマホを開いた瞬間、胸が明るくなった。
大切なあの人から、光をもらえたからだ。
目を輝かせたうさぎさん。
その優しさが、本当に嬉しかった。
光が身体にじんわり沁み渡っていくのを感じながら、
昨日整えられなかった分を取り戻すように、
シャワーを浴びて身体をあたためた。
今から朝と昼ごはんを作る。
大根の焚き物と納豆。
心が整っていないと、料理に集中できない。
そもそも「食べよう」という気さえ起きない日もある。
作りたいのに作れない、食べたいのに食べられない――
その間を行ったり来たりすることもある。
でも、今日は大丈夫。
あの人から届いた光が、背中をそっと押してくれている。
ゆっくりと気持ちが戻ってきて、
台所に立つ自分を自然に受け入れられている。
僕は元料理人だ。
雇われ店長だったけれど、オーナーには本当によくしてもらった。
いいお肉もたくさん食べさせてもらえたし、
あの頃は体重も80キロを超えていた。
今より20キロ近く太っていた。
もらうばかりで、何も返せないままオーナーは亡くなられた。
「美味しいと喜んでもらいたい」というホスピタリティも、
オーナーが教えてくれたものだ。
美味しい・不味いをはっきり言う人だった。
中国と韓国のハーフで、その気質もあったのかもしれない。
特にユッケジャンクッパの試作はきつかった。
何度も食べてもらっては作り直し。
そりゃあ太るよな、と今なら思う。
スープものはお腹に溜まるから、本当に大変だった。
でも、その教育があったから、料理に対して誠実でいられる。
経理事務から製造業へと、調理から離れていく今でも、
教わった志は胸の中に静かに残っている。
今、一番に喜ばせるべきは自分自身。
自分の胃を喜ばせられないなら、
誰かの胃を、ましてや大切なあの人を喜ばせることはできない。
そんなことを考えながら、大根の皮をむいている。
大根ばかり食べているから、面取りもすっかり慣れたものだ。
食べる人のことを考えて、見た目はもちろん、歯触りや食感も整える。
もっと調理の道を究めたかったと思うし、
いつか大衆食堂を開くのもいいかもしれない。
未来は空白のままでいい。
今は、自分の体と心を整える。
明日、万全な気持ちで坂井さんの歌声を聴きたいから。
そんな午前中の記録。


コメント