諸説あるが、初夢は1月2日から3日にかけて見る夢が有力らしい。
元旦に寝過ぎたせいなのか、それとも心のどこかが揺れていたのか、
今日は三時間ほどしか眠れなかった。
その短い眠りの中で、不思議な夢を見た。
サンタの国には、ひときわ仲の良い兄弟がいた。
王家に生まれた二人は、夜空に並ぶふたご座のように、
いつも肩を並べて育った。
サンタの国では、王家の子どもたちは星座と結びついて生まれると信じられており、
二人の絆は星座として語り継がれるほど強かった。
誰もが「この二人は永遠に並んで輝き続ける」と信じていた。
しかしある夜、空からひとつの星座が静かに姿を消した。
星々のひとつが突然消え、人間の国でも大きなニュースになった。
「星が消えた」
その報せは、
世界のどこかで、ゆるやかに何かが変わり始めていたことを告げていた。
兄はその頃、人間の国の女性に心を寄せていた。
サンタの国では、王家の者が人間に恋を向けることは、
昔からそっと避けられてきた。
星座と結ばれた者は、その星の運命に従うべきだという古い考えがあったからだ。
兄は誰にも言えず、そっと胸にしまうしかない想いを抱えていた。
そして兄は、ある日突然姿を消した。
人間の国へ向かったらしい。
ただ、彼女に会いたかっただけなのかもしれない。
その理由は、誰にもわからなかった。
弟である主人公は、兄を探す旅に出る。
見覚えのある駅に降り立ち、
人混みの中に兄の影を見つけた気がして駆け寄るが、
振り返ったのはまったくの別人だった。
そのたびに胸の奥がきゅっと締めつけられる。
旅の途中、主人公も一人の女性に出会う。
心を奪われるような瞬間だった。
しかしその女性は、兄が恋をした相手と同じ人だった。
運命なのか、残酷な偶然なのか。
主人公は答えを見つけられないまま、
兄の行方と、自分の気持ちの行き先を探し続ける。
物語の背景には、
あの人が好きだったスリーズブーケの『月夜見海月』が流れていた。

夢から覚めたあと、
耳の奥に音楽の余韻が残っていた。
夢にしてはやけにはっきりとした物語だった。
星座が消えたこと、
兄を追いかける旅、
同じ女性を好きになってしまう切なさ。
その全部が現実のどこかとつながっている気がして、
なんとなく占いを開いてみた。
そこには、こんな言葉があった。
「失われたものの“意味”が見えてくる年」
「終わりに見えた出来事が、別の形で戻ってくる」
その言葉を読んだとき、自分がこれまで書いてきた
「別の線として出会い直す」
という考えと重なった。
ふと、連絡が途絶えたままの彼や仲間のことが頭をよぎった。
失われたように見えるものも、
ただ静かに形を変えて、別の場所で続いているだけなのかもしれない。
同じ線には戻らなくても、
それぞれの線が、それぞれの場所で静かに伸びていく。
それはきっと、夢の中で見た星座にも、
兄を追いかけた旅にも、
そして自分自身のこれからにもつながっている。
星座が消えたのは終わりではなく、
新しい空が始まる前触れなのかもしれない。
兄を追いかけたあの日々は、
自分自身の“これから”を探す旅でもあったのだと思う。
占いを信じすぎるつもりはない。
でも、
「別の形で戻ってくる」
という言葉だけは、
そっと胸の奥に置いておきたいと思った。


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