午後はおでんの仕込み。
トマトの湯剥きのために氷水に手を入れた瞬間、
「ああ、自分は今、料理をしているんだ」と実感できた。
料理が好きな自分を、そっと思い出せる時間。
手を動かしているだけで、気持ちが少し落ち着いていく。
トマトの皮は、一枚ずつ慎重に剥いた。
途中で切れないように、呼吸を整えながら。
あの人がよく食べていた食材だから、
自分が食べるためのものでも、自然と手つきが丁寧になる。
皮が綺麗に剥けると、それだけで気持ちがいい。
これだけを黙々と続けるアルバイトがあれば働きたいと思うけれど、
そんな仕事があるわけでもないし、
そもそも先生に仕事は止められているから、
今は無理をしない時期だと受け止めている。
トマトも皮は胃に負担になるだろうから、
今の自分にはこうして剥いて食べるのが合っている。
小さな作業だけれど、
丁寧に暮らすという今の自分の軸につながっている気がする。
働くことは止められているけれど、
自己研鑽は止められていない。
だから、この期間のルーティンを作った。
ランニング、読書、勉強、そして睡眠。
必ずできなくてもいい。
休みながら、ぼちぼち続けていくつもりだ。
働きたくても働けないだけで、
止まっているわけではない。
そのことを、自分自身にも静かに言い聞かせている。
資格の勉強も始めた。
語学は学んだ分だけ身になるし、
リスキリングとしてもう一度向き合うのも悪くない。
今の自分には、こうした積み重ねがちょうどいい。
そんな中、あの人から光が届いた。
昨日は気持ちが揺れていたから、心配をかけたかもしれない。
「ゆっくり、ぼちぼちいきましょう」
そんな温度を感じる光だった。
張りつめていた気持ちが、少しだけほぐれた。
これまでも、人前に立つときや、先頭に立たなければならない場面で、
あの人の存在に助けられてきた。
あの人がおいしいものを食べているときの笑顔は、
今でも大切な記憶として残っている。
その時間の空気や、距離感。
思い出すと胸の奥に少し切なさが生まれるけれど、
それも含めて、大切にしてきた時間なんだと思う。
未来を決めつけるつもりはない。
ただ、今日を丁寧に積み重ねていく中で、
また心が軽くなる瞬間が訪れたらいい。
そんな静かな希望だけを、そっと胸に置いている。
今の自分は、充電している最中だ。
焦らず、止まらず、ぼちぼち。
自分を整えながら、
待つ余裕のようなものを育てていきたい。
自分を守れるようになり、
会社の役員として社員を守れるようになり、
そしていつか、大切な人にも安心を渡せる自分でいたい。
その先の未来は、あえて空白のままでいい。
決めつけないことも、今の自分の軸だから。


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