今日はとにかく天気が良かった。
澄んだ空を見上げながら、胸の奥に残る影の正体を確かめたくて、
『オペラ座の怪人』をもう一度見直した。
朝とは違う何かが、今の自分に触れる気がしたからだ。
導入の音楽が流れた瞬間、心がすっと掴まれる。
オークションのシーン。ラウルは足を悪くしていて、自分の足で立てないほど弱っている。
車椅子でしか前へ進めない姿は、
最愛の人を失った喪失の深さをそのまま映しているようだった。
愛した人と離れなければならなくなったら、
人は誰しも心のどこかが壊れてしまう。
自分の身体なんてどうでもよくなる。
その痛みが、今日はやけに胸に沁みた。
猿のオルゴールについては、前回はセリフを聞き逃していた。
落札した理由は、生前クリスティーヌがラウルによく話していたから。
愛した人がよく話していたものを届けたいと思うのは、自然なことだと思う。
自分がラウルの立場でも、きっとそうする。
それがたとえ、自分にとっては思い出したくないファントムのものだったとしても。
仮面舞踏会も、前回は目を伏せがちでしっかり見れていなかった。
ラストシーンでお墓に薔薇と共に供えられていた指輪。
あれは元々、ラウルがクリスティーヌに渡したもの。
それをファントムが奪い、クリスティーヌに返し、
そして最後にクリスティーヌがファントムへ渡す。
紆余曲折するこの指輪は、
三人の想いが交差し続けた証のように見えた。
でも、なぜクリスティーヌはファントムに指輪を渡したのだろう。
ラウルにとっては、クリスティーヌに持っていてほしいはず。
ファントムにとっては、クリスティーヌに持っていてほしくないもの。
そのどちらの願いとも違う選択をしたクリスティーヌ。
そこには、
「一緒にはいられないけれど、あなたのことを大切に想っている」
そんな静かな想いがあったのかもしれない。
「この指輪を、私だと思って大事にしてほしい」
そう伝えたかったのかもしれない。
そう思った瞬間、涙が溢れた。
ファントムは最期まで約束を守ったからだ。
それをラウルもわかっていたのだろう。
本当の意味でクリスティーヌが愛していた人が誰かも。
泣いて、泣いて、泣いた。
ファントムの想いを、クリスティーヌは確かに受け止めていた。
自分の勝手な解釈かもしれないけれど、
2回目を見終えて腑に落ちた大切な2つのシーンだった。
映画を見終えたあと、しばらく窓の外の光を眺めていた。
冬の午後の光は、強く照らすわけでもなく、影を消すわけでもない。
ただ、そこにあるだけで、心のどこかをそっと温めてくれる。
人は誰しも、揺れながら生きている。
クリスティーヌも、ラウルも、ファントムも、
それぞれの想いを抱えたまま、自分の選んだ道を歩いていった。
正しさよりも、その人がその人であるための選択。
その姿が、今の自分の心に静かに沁みていった。
だからこそ、今日という一日を丁寧に積み重ねていく。
焦らず、止まらず、ぼちぼちと、自分の歩幅で、今日を生きていく。
その歩みが、いつか誰かの影をそっと照らす光になれたらいい。
今日の小さな光を胸にしまって、
僕は僕の歩幅で進んでいく。


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