穏やかな答え合わせ

思い出

ふとした瞬間、大切なあの人のことを思い浮かべる。
今日はあたたかく過ごせただろうか。
どこにいても、何をしていても、気づけばあの人のことを案じている。

インフルエンザB型に罹り、今日は一日中布団の中で過ごした。
もし体が元気だったら、ホームセンターのペットショップまで、あの子の様子を見に行きたかった。

雲が流れていく青空を眺めながら、そんなささやかな願いを抱き、布団の中で、あの人からもらった温かな言葉──僕を照らしてくれるその「光」を胸に抱き、静かにやすんでいた。

15時頃、トイレにこもっていたとき、急に意識が遠のきそうになった。
視界が1センチ角ほどにまで狭まっていく。脳がきゅーっと縮んでいく。
最近、まともに食事ができていなかったせいかもしれない。

薄れていく意識の中で、以前、胃がんの手術を受けたときのことを思い出した。
麻酔で意識が遠のいていく、あの抗えない感覚。
あの時も、最後に浮かんだのはあの人の笑顔だった。

「あの人の声を聞きたい」
「もう一度、あの人の笑顔を見たい」
そんな願いが、今回も僕をこちら側へと引き戻してくれた。意識も正常になり、無事にトイレを出ることができた。
僕の世界の中心には、いつもあの人がいる。
その存在が、心細さに飲み込まれそうだった僕を支えてくれた。
あの人を想うことは、僕にとって確かな「生きる力」になっている。

今は8種類の薬を味方に、少しずつ回復を目指している。
「早く治したい」「必ず元気になれる」
そう自分に言い聞かせながら、キッチンで静かに鍋に火をかけた。
まずは温かいうどんを食べて、身体を内側から温めようと思う。
自分を大切にすることは、これからもあの人を想い続けるために欠かせない一歩だから。

あの人は、美味しいものを食べられただろうか。
猫にちなんだ何かに触れて、少しはリフレッシュできただろうか。
立ち上る湯気の向こうに、あの人の穏やかな時間をそっと想像している。

いつかすっかり元気になったとき、
あの日はこんなことがあったんだと、
答え合わせをするように笑って話せたら嬉しい。

今はただ、あの人の穏やかな未来を願っている。
あの人が、今日も穏やかでありますように。

僕も、あの人に誇れる自分でいられるように。
もう一度そっと目を閉じて、
ぼちぼちの歩みで前を向いていく。

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