純青のプリンセス

思い出

オリエンタルランドの株主優待で、ワンデイパスが届いた。
本当は大切なあの人に渡したかった。けれど今は、ただ静かに手のひらでそのカードを眺めている。期限は来年の8月末まで。まだ時間はあるはずなのに、どこか遠い未来のようにも感じる。

パスを見つめていると、あの人と行ったディズニーランドの記憶がふっとよみがえる。
あの日の空は、ただ晴れていたわけじゃない。雲ひとつない青がどこまでも続いていて、まるであの人を出迎えるために用意されたみたいな青空だった。陽射しは強くて、買ったばかりのアイスはすぐに溶けてしまい、こぼれたかけらが地面のアリたちの水分補給になった。そんな小さな出来事まで、今でも鮮明に思い出せる。

澄んだ青を背にシンデレラ城の前で撮った写真は、今でも最高の一枚だ。
あの人が隣にいるだけで、空の青さが少しだけ優しく見えた。あのときの光も風も、全部があの人のために整っていたように思える。

ランドは絶叫系が少ないから、緊張せずに乗れるものが多かった。
それでもビッグサンダーマウンテンの列に並んだときは、少しだけ心臓が早くなった。洞窟を抜けたカーブでふと横を見ると、あの人が隣にいてくれた。その存在だけで、不思議と安心できた。おにぎりのポーズができるくらい、肩の力が抜けたのを覚えている。

プーさんのアトラクションにも一緒に乗った。
僕は昔からプーが大好きで、この話をし始めると長くなるからまた別の機会に書こうと思う。ただ、一緒に乗れたことが嬉しくて、あのときの甘い香りや色彩が今でも胸に残っている。

ベイマックスにも乗った。
あの人は横に回るアトラクションが苦手らしく、叫んで笑いながら、それでも楽しんでいた。あの声を聞けるのは貴重で、帰ってからムービーを何度も見返した記憶がある。あの人が笑うと、周りの空気まで明るくなるような気がした。

念願だった美女と野獣にも初めて乗れた。
野獣の呪いが解けて王子に戻るシーンは、まるで本当に魔法がかかったようで、鮮やかで幻想的で、息をのむほど美しかった。コーヒーカップのように回転する場面もあったけれど、あの人は叫ばず、物語にすっかり入り込んでいた。その横顔を見ながら、物語の世界に一緒に入り込んでいるような気持ちになった。

そして夜。
エレクトリックパレードを手をつなぎながら見た。煌びやかな行進は、夢や願いが次々と受け渡されていくバトンリレーのようで、その光の中であの人が集中して見つめる横顔から目が離せなかった。あの瞬間だけは、時間がゆっくり流れているように感じた。

ワンデイパスを手にしただけで、こんなにも鮮やかに思い出が戻ってくるなんて思わなかった。
あの時間は、今も胸の奥で静かに灯り続けている。その灯りは、過去にしがみつくためのものではなく、これからの自分をそっと前へ押してくれるためのものだと思う。

来年の8月末までのパスをどうするかは、まだ決めていない。
けれど、澄んだ青空を見るたびに、あの人と過ごしたあの日の光景が浮かぶ。
その記憶がある限り、僕はきっと大丈夫だ。お互いにいま必要な距離感で。焦らず、今の自分を支えていく。

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