続きは星の下で

旅行

何を書けばいいのかわからない。言葉にしようとすると、すぐに途切れてしまう。

たとえ手術が成功したとしても、経過観察という時間が待っている。「自由に楽しむ」という言葉は、まだ遠くにある。それでも夜空を見上げれば星はそこにある。星を見ることはできるかもしれない。それだけで、少し未来を信じられる。

大切なあの人には、ただ幸せになってほしい。私の願いは、それ以上でもそれ以下でもない。

今、車を買い替えようとしている。こないだ現車を見に行った。ダイハツのブーン。可愛いピンク色。大切なあの人とよくドライブに行った今の白い車。心の中では「はなまるデイズ」と呼んでいた。この車と過ごした時間は、私にとって小さな奇跡の連続だった。

フルカラーかツートンか迷っている。白を残したいのは、白には、あの人との思い出がたくさん詰まっているから。新しい車の色に過去を重ねることは、未来を拒むことではない。むしろ、記憶を抱えたまま次の道へ進むための選択なのだと思う。

手術が成功したら、この車に乗って星を見に行こうと思う。
夜空の下で、過去と未来を重ねながら、静かに息を整えたい。

もし、大切なあの人が隣にいてくれるなら。
いまもなお、そう願わずにはいられない。星の光に照らされながら、笑い声も沈黙も、すべてが温もりに変わる。まるで、この本の表紙のように。

冬の夜空は澄んでいて、星がひときわ輝く季節だ。その光を、生きている証として胸に刻みたい。1月の南の空にかがやく一等星。アルデバラン。おうし座を形作る星のひとつで、古代バビロニアでは春分を告げる「導き星」と呼ばれていた。赤く静かに輝くその光を見つけに行きたい。過去の記憶も未来への願いも、その星の下で重ね合わせながら、「はなまるデイズ」の続きを確かめに行こうと思う。

車に乗っていると、助手席に大切なあの人の影が見える。大切なあの人の声が聞こえる。それは幻かもしれないけれど、私にとっては確かな記憶の響きだ。楽しかったことも悲しかったことも、たくさん詰まっている。そのすべてが、今の私を形づくっている。

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