窓を開けると、春の予感を含んだ柔らかな風が部屋に流れ込んできた。見上げれば、吸い込まれそうなほど鮮やかな蒼穹が広がっている。今日の降水確率は『0%』非の打ち所がない快晴だ。
そんな完璧な空模様を眺めていると、意識は自然と遠くで働くあの人へと向かう。今日も、あの人は忙しく仕事に励んでいるのだろうか。こんな風にあの人を想う時間は、僕の心を穏やかに調律してくれる、かけがえのないひとときだ。
あの人が放つ光は、いつも眩しいほどの笑顔だ。その輝きに触れるたび、自分も一刻も早く相応しい存在にならなければと、つい心が急いてしまいそうになる。けれど、そんな時こそ僕は一度目を閉じ、ゆっくり、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
「ゆっくりで大丈夫だよ」
いつかあの人が掛けてくれたその一言が、今も僕の心の中で温かな”凪”を作っている。その言葉をお守りのように抱きしめているからこそ、今日の僕の心の降水確率も間違いなく0%だと言い切れるのだ。焦燥は、青空に溶けて消えていく。
今日は自分を磨くことに、すべてのリソースを傾けられる一日だった。まずは、身だしなみを整えることから始めた。
美容室の椅子に座り、鏡を見つめる。ハサミの音とともに、余分なものが削ぎ落とされていく。切り終えたあとの鏡に映るシルエットを見て、自分の輪郭がようやくはっきりとした気がした。
自分を大切に扱い、形を整えること。それは、あの人と対等に向き合うための、最良の準備なのだと改めて実感する。
カットの順番を待つわずかな時間さえも、僕にとっては欠かせない研鑽の場だ。最近、特に情熱を注いでいるのが韓国語の勉強である。
今読んでいる、サンリオの学習本は、キャラクターたちが愛らしく、ページを開くだけで学習へのハードルが劇的に下がる。隙間時間に少しだけ、という気軽さを与えてくれるこの本は、間違いなく買って正解だった。ハングルをなぞるドリルや、実用的なフレーズ集も展開されているため、近いうちにシリーズを揃え、さらに理解を深めたい。
また、YouTubeでネイティブの微細な発音や、教科書には載っていない単語のニュアンスを吸収したり、Netflixでドラマを通じて生きた会話を学んでいる。
現在は実写版『ONE PIECE』を韓国語音声で視聴中。既知のストーリーだからこそ、未知の言語がスッと脳に定着していく。
すべては、いつかあの人の隣に胸を張って立つため。新しい単語を一つ覚えるたび、あの人に届くはずの言葉が、少しずつ増えていくような高揚感を覚える。
一日の締めくくりには、自分との対話であるトレーニングを課した。今日も腕立て伏せとプランクを完遂した。
筋肉が悲鳴を上げ、限界が訪れ、心が折れそうになるその刹那、僕は心の中にあの人の笑顔を鮮明に描き出す。
あと一回。あと一秒だけ。
不思議なことに、あの人の笑顔を思い出すだけで、枯渇しかけていたはずの力が底から湧き上がってくる。苦痛であるはずのトレーニングが、自分を高めるための心地よい儀式へと昇華される瞬間だ。
こうして新しい習慣を、一日も欠かさず継続できている理由。それは、あの人が僕の背中を、優しく、それでいて力強く押し続けてくれているからに他ならない。
今日もやり切った。心地よい疲労感に包まれながら、明日もまた、自分を更新し続けていこうと誓う。




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