昼前までは雨が降っていた。
午後は、いつでもまた雨を降らせそうな、少し大きな雲を腰にさした青空が広がっていた。
そんな空を見上げながら、僕は車を出した。
向かうは大阪方面。
環状線から南へ、ユニバーサルスタジオジャパンの案内標識が見えた。
不意に、少しだけ胸を押さえた。
大切なあの人との思い出がある場所。
けれど、今日の目的はそこじゃない。
標識を横目に、僕はそのまま車をさらに南、南港へと走らせた。
今日、車を走らせた理由――それは、クレーンが見たくなったから。
今の僕が持っている資格では、5トン以上のクレーンを操作することはできない。
だからこそ、あえて今、その巨大な姿を改めて目に焼き付けておきたかった。
自分には、まだ伸び代がある。
まだ上に行ける。ここで終わりじゃない。
取ろうと思えば、もっと上の世界があるということを、理屈ではなく“肌で”知りたかった。
海へ行くと伝えた時、大切なあの人から届いた可愛いお花の光。
この優しい色が、今の僕の背中をそっと押してくれている気がする。
南港に車で来るのは、営業職として働いていた頃以来だろうか。
久々に通る道のりは、当時とは視線も、見えている景色もどこか違って感じられた。

港に整列する、色とりどりの無数のコンテナ。
それを巨大なクレーンが吊り上げ、安定した動作で運んでいく。
すごいな、これがプロの仕事だ。
素直にそう思った。
今の仕事に戻れたとしても、あんなに高い場所から巨大なものを吊る機会は、今のところないかもしれない。
けれど、本物の上の世界を知ること。
それは、今の僕にとって何物にも代えがたい、大切なプロセスだったと思う。
卑屈にならず。
今できることを丁寧に。
焦らず、ぼちぼちと進んでいけばいい。
そんなことを思った、黄昏時。
천천히 걸어가다(チョンチョニ コルガダ)
ゆっくり、歩いて行けばいい。


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