通院は来月が最後になった。
診察を終え、祖父のお墓へ新年の挨拶に向かった。
お寺はすでに閉まっていて、門の外からそっと手を合わせる。
冬の冷たい空気が肌を刺し、通りには誰もいない。
乾いた石畳に響く自分の足音だけが、静かな時間を刻んでいた。
新年は、一年の中で最も「新しい自分に生まれ変わろう」と思える瞬間だ。
その感覚を共有できたあの人との絆は、今も確かに胸の奥で光っている。
祖父が興した会社を、これからも繋いでいく。
その誓いは、孫三代目としての責任の重さを伴う。
「三代目で潰れる」という言葉を耳にするたび、自分が柱にならなければと身が引き締まる。
天の祖父へ、明日会う社長へ、そして会社を支えてくれる社員の皆さんへ。
そのすべてに向けて、静かに誓いを立てた。
その瞬間、一陣の風が頬をかすめた。
正月から髭を剃っていなかったせいか、冷たさがいつもより鮮明に伝わる。
祖父に背筋を伸ばせと言われたような気がして、思わず姿勢を正した。
今年は線を育てる年にする。
去年のままではいられない。
会社のためにも、そしてあの人の存在を胸に、変わりたいと思えるようになった。
新年の挨拶といえば、着物がよく似合う季節だ。
また想像してしまう。この時期は仕方ない。
艶のある着物をまとい、かわいくお辞儀をするあの人の姿が自然と浮かぶ。
霧氷が舞う季節に白い着物を着たあの人が立つ光景は、
想像するだけで胸が締めつけられるほど美しい。
少し照れた表情まで、容易に思い浮かんでしまう。
明日の新年の挨拶では、かつての仲間たちがあの人の声を直接受け取る。
その光景を思うと、少しだけうらやましい。
大切な人の声は、何度聞いても力になる。
明日を迎えるための原動力になる。
その姿をこの目で見られる日は、いつになるのだろう。
けれど、焦らない。
線を伸ばすように、ゆっくり進めばいい。
その歩みがあったから、ブログもここまで続けてこられた。
記事が100を超えても、まだ書ける。
想いは未来へ向かって、静かに伸びていく。
帰り道、家電量販店に寄って電動シェーバーを新調した。
髭を剃らなかったのは、新しい剃り味を試したかったからだ。
ボーナスのご褒美を買う余裕がなかった時期を思えば、
こうして自分のために何かを選べるようになったことが嬉しい。

選んだのはパナソニックの「パームイン」。
以前のシェーバーが壊れ、T字カミソリは肌に合わなかった。
ホワイトの色合いがどこかサモおを思わせ、
もこもこの毛を頬にあてているような感覚がして、思わず心がほぐれた。
新年2回目の「笑い」かもしれない。
使うのが楽しみだ。
営業という仕事柄、身だしなみは言葉より先に相手へ届く“最初の挨拶”になる。
そして、身だしなみは外見だけではなく、心を整えることでもある。
この小さな道具ひとつで、明日の自分が少しだけ整う気がする。
そんな前進を積み重ねながら、心も体も整え、新しい一年を自分の手で形づくっていきたい。
昨日の線も、今日の線も、未来へ繋がる一本になる。


コメント