相棒の余白

仕事

車のナンバーを決めるまで、ずっと迷っていた。
朝、カーショップから「今日中にお願いします」と連絡が来たけれど、
不思議と焦りはなかった。
せっかく選べるのだから、適当にはしたくない。
これから長く一緒に走る相棒だ。
ひとつだけ大切にしたい意味はある。けれど、その意味だけに縛られたくはない。
そんな揺れの中で、ぼちぼち考え続けていた。

輪郭を決めすぎず、未来の自分が自由に意味を足せるような数字にしたい。
けれど、未来はわからない。
だからこそ、急がずに向き合った。

夕方になってまた電話が鳴り、
「30分だけ待ってください」と伝えて通話を切った。
その短い時間の中で、
これでいいのか、他の選択肢はないのかと、最後まで迷っていた。
揺れながら、それでも前へ進もうとしていた。

そんな中で出会った番号は、
理屈ではなく、自然に馴染んだ。
迷いがほどけていくような、穏やかな手触り。
「これでいい」と思えた。

選んだ番号は、意味を押しつけてこない。
今の自分にも、これからの自分にも寄り添える余白がある。
完成された象徴ではなく、これから一緒に育っていける数字。
晴れの日も、雨の日も、たとえ荒れた天気の日でも、
この番号なら越えていける気がした。

その数字を見るたびに、気持ちが少し軽くなる。

過去の自分なら、きっと選ばなかった。
意味を詰め込みすぎたり、
逆に何も考えずに決めてしまったりしていたと思う。
でも今の自分には、この“余白”がちょうどいい。
未来の自分にも寄り添ってくれる気がする。
変わり続ける自分を受け止めてくれる番号だ。

新しい車と、この番号で走る未来が楽しみだ。
まだ見ぬ景色を思い浮かべると、胸が少し弾む。

まずは星を見に行きたい。
三つの星座。
思い出の場所を巡るのもいい。
好きなアニメや映画の聖地巡礼、ライブ会場、
知らない土地にも足を伸ばしてみたい。

小さな変化かもしれないけれど、
自分にとっては確かな前進だ。

「この番号でよかった」と思える日が、きっと来る。

そして、その歩みのそばには、
いつもそっと整えてくれる光がある。
背中を押すでもなく、引っ張るでもなく、
ただ、ふっと届くくらいの距離で見守ってくれる光。
その存在に気づくたび、心が柔らかくなる。

余白のある番号を選べたことが嬉しい。
決めつけない数字を選んだことで、
自分の中に少しだけ“伸び”を感じられた。

納車の日は、
自分の中でそっと前に進める日になる。
今日の私も、未来の私も、
この番号と一緒に、急がず・止まらず・ぼちぼち歩いていく。

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