ふっくらの源

仕事

午前中から読み進めていた評価シートに目を落としながら、自分の達成目標を考えていた。
若い世代の多くが「資格取得」を掲げていることに気づき、その言葉を追っているうちに、自分の中にも静かに芽生えたものがあった。

入社して、自分が星をつなげた仕事は2つ。

ひとつは、アパレルショップのピンク色の装飾。
金属からこんな優しい色や、空間全体に漂う甘い温度が生まれることを知った。
色ひとつで空気が変わることを、あらためて教えてくれた。

もうひとつは、美術館に納品した展示品の、美しい銅の曲線。
金属の角ばった印象をやわらげる“R”の技術が生み出したものだ。
取り付けは完了しているが、公開前のため仕上がりの写真はまだ見ていない。
13日にはリペアで現地に向かう予定で、そのとき初めて“完成した星座”に会えるのが楽しみだ。

どちらも、自分の感性をそっと揺らしてくれる仕事だった。
まだ満ちきらない月のように、形になりきらない部分もある。
それでも、少しずつ光を集めていくような感覚があった。

星と言っても、月がいい。月でいい。
満ち欠けしながら進む月のように、揺れながらでも前へ向かう姿でいたい。
そんな思いが、ふっと胸の奥に灯った。

現場に立つ自分として、技術を知ることの必要性を感じている。
経営者になる立場としても、技術を理解していることは大きな意味を持つ。

社員に頼ることは大切だ。
けれど、経営者全員が社員に丸投げするような組織では、働く人はきっと窮屈に感じてしまう。
だから、自分はその間に立つクッションでありたい。
そのためにも、自分ができることを増やしたい。
社員の負担を減らすために、自分の“こなせる量”を上げたい。
その思いが、技術系の資格を取りたいという気持ちにつながった。

溶接。
アーク溶接。
自由研削砥石の扱い。
グラインダー作業。

現場で当たり前のように使われている道具ほど、正しく扱うには知識が必要だ。
「知っているつもり」と「本当に理解している」は違う。
特に技術系の資格は、扱い方を誤れば怪我につながる。
過去に一度だけ怪我をしたことがあり、その痛みを思い出すと、学び直す意味がよく分かる。

経験だけに頼らず、体系的に学ぶこと。
それは、自分の“判断の質”を上げることにもつながる。
現場の人の気持ちを理解するためにも、深く知っておきたいと思った。

経営者になる身として、判断の裏付けを持つことは大切だ。
自分の未熟さを埋めるための学びでもある。
未来へ向けた静かな決意が、今日の自分を支えている。

あの人の言葉を思い出すと、背筋がそっと伸びる。
仕事で疲れていた日に、あの人の笑顔を思い出して力が戻ったことが何度もある。
声や笑顔を見るだけで元気が湧いて、焼きたてのパンみたいに気持ちがふっくらする。
思い出さない瞬間がないほどに、あの人の声やしぐさが自分の中に残っている。

あの人の前では、胸を張って立てる自分でいたい。
完璧じゃなくてもいい。
ただ、向き合う姿勢だけは失わずにいたい。

あの人の歩幅を思い出すと、呼吸が整う。
同じ方向を見て歩けたらいいし、ときには違う景色を見ていてもいい。
それでも、また並んで歩けるように、自分の足でしっかり立てる力をつけていきたい。

資格を取ることも、技術を学ぶことも、
その未来にそっと寄り添うための準備になる気がしている。

午後も、急がず、止まらず、ぼちぼちと。
焦らずに積み重ねていく。
昨日の私も今日の私も未来へ繋げる記録として、静かにここに残しておく。

大切なあの人も、今日は仕事だと思う。
どうか無理のない一日でありますように。
体調が穏やかであることだけ、そっと願っている。

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