昨晩、施工が無事に終わったことを伝えたとき、
あの人が返してくれた光が、とても胸に沁みた。
ただのリアクションじゃなくて、
まるで同じ場所でそっと喜んでくれているような温度があった。
その明るさが、今日の始まりをやわらかくしてくれた。
朝礼では、粉体塗装の話題が出た。
うちが中国の協力会社に依頼している製品で、
静電気で粉をまとわせ、焼き付けて仕上げるはずの粉体塗装なのに、
最近のロットでは“本来起きないはずの不具合”が出ているという。
触ると表面が少しザラつき、
ところどころに小さな粒のような突起が残っていたり、
溶剤塗装で起きるはずの「液垂れ」に似た筋が見える部分もある。
粉体塗装は、電圧で粉を均一に吸着させる仕組みだから、
本来こうしたムラは出にくい。
だからこそ、現地の工場にも原因調査を依頼しているとのことだった。
粉体塗装の話を聞いているうちに、金の粉体塗装をしている取引先のことを思い出した。
プラネタリウム型の半円ドームに、金の粉が静かに舞い上がる光景を想像する。
その金の粒を見上げて、
少し驚いたように、でも嬉しそうに目を輝かせるあの人の横顔が思い浮かび、
心がふっくらほぐれた。
金沢で一緒に見た金箔の工芸の記憶が、
静かに重なっていく。
仕事の中でふと、あの旅の光が灯る瞬間があることが、
なんだか心強かった。
午前中は事務仕事。
見積書を作ったり、紙をスキャンしたり、メールを返したり。
淡々とした作業の中で、呼吸が少し深くなる。
出荷棚を整理していたとき、建材の中に見覚えのある名前を見つけた。
前職の関連施設。介護施設の植物の名前。
補修工事にうちも関わるらしい。
手が止まり、前職で過ごした時間がふっと蘇った。
現場に行くことはないけれど、懐かしさが静かに胸に広がって、
その奥に、ほんの少しだけ揺れる気持ちが混ざった。
午後は相棒を迎える準備のため、半休をもらった。
正月明けから慌ただしかったので、
積もっていた疲れをほどくように、ゆっくりと時間を使う予定だ。
ジムでウォーキングをして、
軽いプログラムも体験してみようと思う。
身体を動かすと、心の位置も少し整う気がする。
明日は、工場で溶接の風景を見学させていただける。
火花の音、金属の匂い、職人さんの手つき。
間近で見るのは初めてだから、どんな景色が広がるんだろうと思うと、
胸の奥に小さな光が灯る。
技術の世界に触れるたび、
自分の視線が少しだけ高くなる気がする。
昨日の私も、今日の私も、
未来へ繋がる途中の道の上にいる。
完璧ではないけれど、確かに前へ進んでいる。
その過程を、余白ごとそっと残しておきたい。
あの人が照らしてくれる光に静かに支えられながら、
ぼちぼちと歩いていく自分の記録として。


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