眠れない夜が続いている。
浅い眠りのまま朝を迎えると、体も心も重く、日常に向かう気力が削られていく。
過去の出来事が影を落とし、居場所を失った感覚に囚われることもある。
外に出れば他人の視線が気になり、休日の行動範囲も狭まる。
あの出来事をきっかけに、僕の生活は大きく揺らいだ。
『罪と罰』
ラスコーリニコフは「裁き」の思想に囚われ、孤独へ沈んでいった。
彼もラスコーリニコフのように「裁きを選ぶ側」に立っていたのかもしれない。
その行為が正義だったのか、それとも別の思いからだったのか。
結果として僕の生活は変わり、その影響は今も心に重く残っている。
けれど僕は、もう彼を敵として見ているわけではない。
むしろ、彼自身も孤独や重さを抱えていないかと案じている。
僕と同じように眠れない夜を過ごしていないか、職を追われていないか。
確かめる術はなくても、そうした苦しみを背負っていないかと心配になる。
そして、その心配を抱える僕自身もまた、同じように苦しんでいる。
過去の影は消えないが、その影を抱えながら生きているのは僕も同じだ。
眠れない夜には、窓を開けて夜空を見上げる。星空があの人は大好きだった。その記憶が蘇るたびに、僕は思う。投影されたものではなく、本物の、満天の星空を見せてあげたかった。星座の物語を一緒に見上げて語り合いたかった、と。
空気が澄み、星空が綺麗に見える季節になってきた。

星影という言葉をご存じだろうか。
雅語に属する古い表現で、星の光を指す。影があるからこそ光は際立ち、光があるから影もまた意味を持つ。夜空に瞬く輝きと、その光が生み出す影を重ね合わせて生まれた言葉なのだろう。
完全な光ではなく、影を伴ったまま存在する輝き。
その姿は、過去の影を抱えたままでも未来へ歩んでいけることを示しているように思える。
大きな声で未来を語らなくてもいい。当たり前の幸せをもう望むことはない。
眠れない夜に見上げた星影のように、今日の小さな一歩がひっそりと明日への足場になる。
だからこそ、僕は生き続けたい。迷いを抱えながらでも、誇りを持って歩いていきたい。その歩みが、誰かの心に届く『一等星』になることを信じて。

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