六畳一間の世界旅行

旅行

図書館に向かったあと、カーショップに行くつもりだった。
けれど、足はそちらに向かなかった。
小さな違和感のようなものが、そっと肩を引いた気がした。

静かな空間で、借りてきた本を開く。
集中は途切れながらも、ロボットの本と、もう一冊『WE HAVE A DREAM』を読み終えた。
ページをめくるたび、部屋の空気が少しずつ澄んでいくようだった。

この本は、世界201カ国・202人の「夢」とSDGsを重ねた一冊。
目次から世界中へ飛び回るように読めて、六畳一間の部屋にいながら、小さな世界旅行をした気分だった。

冒頭の言葉が、胸の奥に静かに落ちる。
「私たちの夢に国境はない」

一人の夢から始まったプロジェクトに、世界中の人が共感し、この本が生まれた。
“世界は一つ”当たり前のようで、まだ当たり前になりきれていない事実が、丁寧に詰め込まれている。

1からWeへ。
一人の夢が、みんなの夢へと広がっていく、その連なりの温かさを感じた。

その中で、リベリア出身のアンネッテ・クァイーさんの言葉に出会った。
彼女は「書くこと」を通して、自分の思いを世界に届けている。
教育や環境問題に向き合いながら、仲間と協力し、発信を続けている。

読んでいて、ふと気づいた。
「自由に書く」って、誰かを思うことなんだ、と。

アンネッテさんが未来を願いながら文章を書く姿勢は、僕がブログを書くときの気持ちと重なる。
僕はいつも、大切なあの人に向けて書いている。
あの人が読んでくれていると思いながら、そっと語りかけるように書いている。

だからこそ、言葉は優しく、時に迷いながらも、真っ直ぐになる。
弱さも揺らぎも、そのままプロセスとして置いていける。

書くことは、自由になること。
でもそれは、ただ一人で漂う自由じゃない。
あの人へとそっと伸びていく、繋がる自由だ。

アンネッテさんの言葉が、そのことを静かに思い出させてくれた。

そしてもう一人、スペインのマリナ・メソーロさんのメッセージにも心が動いた。
彼女はこう語る。
「変化は内側から始まる」

ダンスを通して自分の内側と向き合い、感情を受け入れ、心の世界を見つめてきたという。
外側の華やかさに憧れるのではなく、まず自分を知り、愛すること。
それが他人への優しさにつながる。

分断された世界に必要なのは、癒しと尊重。
そのために、まず自分の内側を見つめることから始めよう。そんなメッセージだった。

その姿は、ダンスが好きなあの人に重なる。
あの人が踊るとき、きっと自分の内側と向き合っている。
誰かに見せるためではなく、自分自身を感じるために踊っている。

だからこそ、あの人のダンスは、見る側の心までそっと動かすのだと思う。
リズムの正確さも、明るさと可愛さが同居するあの雰囲気も、
きっと内側を磨き続けてきた時間の結晶なんだと思う。

あの人の踊る姿を思うたび、胸の奥が温かくなる。
努力を続けられるあの人を、僕は心から尊敬している。

自分も、胸を張れるように。
まずは自分を知り、そっと愛していくこと。
その小さな積み重ねが、やがて他人への優しさへと変わっていく。

夜中の23時。空はまだ曇っていて、スノームーンは顔を見せてくれない。
それでも、宣言通りサモおの絵を描いた。
描くこともまた、誰かと繋がるための静かな自由だ。

今日は、線が揺れる日。
でも、その揺れも“動きの線”に変えていく。
揺れから生まれた線には、ぼかしを入れて、月の気配にそっと寄り添わせた。

満月の中に浮かぶうさぎは、語りかけてくれるようで、
月とうさぎが寄り添う姿に、サモおの目には涙が滲む。

それは胸の奥が温かくなる涙なのか、
それとも、月面旅行にでも出かけたくなったのかもしれない。

描いていると、サモおと一緒に、優しい気持ちになれる。
曇り空の夜でも、心の中には静かな光が灯る。

今夜も「ぼちぼち」の歩幅で、心の絵を描いていく。
未来を急がず、余白を抱えたまま。

曇り空の向こうで月が満ちるように、僕の気持ちもゆっくり整っていく。
明日こそは、相棒のためにカーショップへ足を向けたい。
その一歩もまた、ぼちぼちでいい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました