個包装に置いた傘

仕事

胃の手術のあと、主治医から梅もグミも粘膜を刺激するから、
ひと月は我慢しましょうと言われていた。

手術から二か月弱。昨日は食べようと思いながらも、結局手が伸びなかった梅味のグミを、
今日になってようやく口にした。
どこか身構えてしまう自分がいたけれど、
実際に食べてみれば思っていたほど酸味は強くなく、
むしろやわらかい甘さがふわりと残った。

ひと粒、ひと粒を噛みしめていると、
好きだと聞いてから、コンビニに寄るたびに自然と棚に目が向いていたことを思い出す。

その光景がよみがえり、
気づけばまた涙がこぼれていた。

メンタルの薬がひとつ増えた。
働けないことへの悔しさや、行き場のない気持ちに押しつぶされそうになる瞬間がある。
そんな自分にまた情けなさを覚えて、どうしたらいいのかわからなくなることもある。

涙が止まらなくなることを先生に伝えると、気持ちを落ち着かせる頓服薬を処方してくれた。
液体の薬で、先生は「美味しくないよ」と笑っていた。

これまでとは少し違う薬に、胃がきゅっとするような思いもあったけれど、
それでも、自分を守るための選択肢がひとつ増えたのだと受け止めている。

家に帰ると、あの人から光が届いていた。
ものかげから覗くような、静かな優しさを感じる光だった。
忙しい時期のはずなのに、こちらへ向けてくれたその気持ちが胸に沁みた。
その優しさに救われたのは確かだ。

一歩ずつでも前を向けていることを、自分自身が確かめていきたい。
焦らず、空白を抱えたままでもいい。
その積み重ねの先に、もしまた音楽やサブカルチャーを楽しめる日が来るなら、きっと自然に訪れるのだろう。

今日、BTSの公式チャンネルで新しいライトスティックの紹介があった。
柔らかく色が変わる光がきれいで、未来のライブの景色を少しだけ想像した。
アーミー端くれとして、静かにカムバックを待っている。
あの人と一緒に追いかけてきた“好き”が、今もそばにあって、自分を支えてくれている。

夕陽が赤く滲んでいた。これから天気は下り坂らしい。
気持ちもどこか沈みがちになる。
それでも、ふと顔を上げると、あの人の光を思い出す瞬間がある。
雨の中を無理なく過ごせているといい、と静かに願う。
梅味のグミの個包装に書かれていた未来祈願の言葉を眺めながら、
そんな小さな祈りを胸の内にそっと置いた、黄昏の時間だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました