対岸で歌うオペラ

映画

今から走る。
昨日はシャワーを浴びる気力がどうしても起きなかった。
だから今朝は、その分も含めて体を動かして、少しでも自分を整えたいと思った。
心の中に黒いものが混ざる瞬間があるけれど、そういう日もある。
今日はその揺れと静かに向き合いながら過ごしていきたい。

今日は暖かくなるようだ。
寒暖差で咳が出やすい季節でもあるから、お互いに、無理のない一日になるといい。

睡眠薬を飲んでも四時間ほどの睡眠。
わかっていたけれど、夢を見た。
胸の奥をそっと掴まれるような夢だった。

川のほとりに立っていた。
周りでは、知らない人たちがバーベキューをして笑っている。
その賑やかさを横目に、僕はひとりで川を眺めていた。

ふと、対岸に人影が見えた。
誰なのかは分からない。
ただ、そちらへ向かいたいような気持ちが静かに浮かんだ。
その感覚に背中を押されるように、川へ足を踏み入れた。

水は冷たく、流れは速い。
足を取られそうになりながらも、前へ進む方が自然に思えた。
胸まで水に浸かりながら、ただ一歩ずつ進んでいった。

気がつくと、対岸に立っていた。
けれど、そこには誰もいなかった。
振り返っても、元いた場所にももう誰もいない。
夕方の光だけが、静かに川面を照らしていた。

その光の中で、僕は誰に向けるでもなく歌っていた。
あのクリスティーヌの歌を、まっすぐに。
届かなくてもいい。
誰が聞いていなくてもいい。
ただ、自分の声を確かめるように。

夢の中の僕は、
誰かのために歌うのではなく、
自分のために声を出していた。

場面が変わり、大学のキャンパスにいた。
なぜか隣にあの人がいて、
何かをそっと言葉にしていた。
その声が、夢の空気を少しだけ和らげたところで目が覚めた。

目が覚めたあとには、
川の静けさと、キャンパスでのあの短い場面が、
どこか同じ流れの中にあるように胸に残っていた。

走ろう。
今の自分にできることは、朝を整えること。
どれだけ辛くても、時間は止まらない。
だからこそ、今日を丁寧に積み重ねていきたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました