学科試験、実技試験とも、無事に合格することができた。
四日間、共に切磋琢磨した受講生の皆さんも、本当にお疲れさまでした。
今は、張り詰めていた糸が解けたような安堵感に包まれている。
正直、試験前はかなりの緊張があった。
そんな僕を支えてくれたのは、大切な人からのゆっくり深呼吸しながら、という助言だ。
その言葉を胸に置くことで、落ち着いて試験に臨むことができた。
朝一番は実技試験だった。
4種類の材質(アルミ、銅、鉛、鋼)の質量を算出する試験から始まる。
自分の指先から指先までの長さ、肘から指先までの長さなど、自分の体の寸法を「物差し」として計算を行うのだ。
昨日勉強した甲斐があり、公式もしっかり頭に入っていた。
焦ることなく、丁寧に計算を進めることができた。
計算試験と目測試験を終え、玉掛けの指差呼称の練習に入る。
「円柱」の玉掛けが僕の試験項目となった。
自分の番でなくても、他の受講者の動作や視線を真似て、一つひとつ体に覚え込ませていった。
試験は3人1組で行われる。
僕はチームの1番手だった。
あとの人に緊張を伝染させないよう、落ち着いてやり遂げよう。
そう心に決めた。これまで何度も経験してきた、人前で発表する時のあの感覚。
そのどの場合でも、あの人が見ていてくれた。今日もその感覚を支えに、試験に臨んだ。
重心位置や荷掛け位置をチョークで書き込み、チームに方法を説明する。
玉掛けの指差呼称はクレーンよりも遥かに多いが、丁寧にこなしていった。
不思議とお腹の底から声が出たのは、あの人のアドバイスがあったからだろう。
講師の方からも最後に「よく声が出ていた、よろしい!」と言ってもらえ、
巻き上げ・巻き下げもスムーズに行うことができた。
作業を終え、あとの人にも良い流れでバトンを渡せたと思う。
自分自身の試験が終わった後も、チームのサポートに全力を尽くした。
短期間の即席チームではあったが、全員が終えた後には、
小さな建築物ならこのメンバーで建てられそうだな、と感じるほどの、
不思議な一体感が生まれていたと思う。
試験を終え、合否発表は別室で個別に行われた。
待っている時間は、試験本番とはまた違う、ひりつくような緊張感があった。
名前を呼ばれ、入室する。そこには試験補佐の方が座っていた。
「○○さん、合格です」
その一言に、僕は心の底からほっと胸を撫で下ろした。
四日間の努力が報われた、そう確信した瞬間だった。
あとから、チームの仲間たちも無事に合格できたと聞いた。
この資格は一生ものだ。
これから「玉掛け作業者」として自信を持って現場に立つことができる。
責任は重大だが、今の自分なら大丈夫だと信じられる。
大切な人に合格を報告すると、BT21のキラキラした光が届いた。
一瞬ドキッとしたが、また深呼吸をする。
「焦らず、ぼちぼち、ゆっくりで大丈夫だから」
今は岐阜からの帰路についている。
今日は本当に気持ちよく一日を終えることができそうだ。
次は仕事ではなく、観光でこの地を訪れたい。
焦らず、ぼちぼち、ゆっくり。
資格と呼吸を胸に、明日からの新しい日常を歩んでいこう。


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