前向きの僕と、上向きのクローバー

思い出

昨晩の空は、吸い込まれるほどに澄んでいた。大切なあの人が教えてくれた星空。僕はカメラを回し、その瞬きを静かに記録した。

社会から少し離れ、思うように動けない自分に対して、どうしても焦燥感ばかりが募ってしまう。視線は自然と下を向き、暗い足元ばかりを数える日々。けれど、あの人に促されて顔を上げれば、そこには「きらきら星のシャワー」が降り注いでいた。

撮影した動画を見返した後、シャワーを浴びた。いつもと同じはずの水滴が、心なしか星のように輝いて見えた。耳の奥に残るあの人の声の温もりを抱きしめるようにして眠りにつくと、久しぶりに8時間近くの深い眠りを得ることができた。

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穏やかな朝を迎えるはずだった。しかし、目覚めとともに左目に強烈な違和感が走った。まぶたが重く、思うように開かない。鏡を覗き込むと、目は半分しか開かず、真っ赤に充血していた。

外に出ると、わずかな光さえも目に沁みた。幸いにも空には雲のカーテンがかかっていて、直射日光が遮られていたおかげで、かろうじて痛みは抑えられていた。

急いで眼科へ向かい、診察台に顎を乗せる。先生は僕の目を覗き込むなり、あまりにも軽い口調でこう言った。
「あ、鉄が刺さってますね。取っちゃいましょう」

心の準備をする間もなかった。看護師さんに麻酔の指示が飛び、手際よく点眼タイプの表面麻酔が施される。そしてピンセット。ものの5分ほどで、僕の瞳に居座っていた「鉄」は取り除かれた。処置が終わっても、まだゴロゴロとした異物感は残っている。けれど、ようやく世界を両目で見ることができた。

おそらく、昨日部屋の模様替えをした時に、六角ネジから出た微細な鉄粉が目に入ったのだろう。小さな油断が、大きな代償を招くところだった。DIYや模様替えの際は、必ず防護メガネをするべきだったと反省した。

眼科を出ると、相変わらず光は目に沁みた。けれど、どんよりと垂れ込めた雲のカーテンが、今の僕にはちょうどいい優しさだった。

あの人から出されていた「ミッション」は、左目が万全になってから再チャレンジすることにしよう。空を見上げることが難しいから、代わりに足元の草花に触れたくなった。

相棒のブーンに乗り込み、近くの大きな公園へ向かう。広場を歩いていると、シロツメクサの群生を見つけた。しかし、時期が少し早かったのか、ほとんどの葉はまだ小さく、なかば諦めかけていた。

強い冷たい風が吹く中で、その一箇所だけが、他とは違うリズムで大きく揺れていた。

ふと足を止め、そっと目を凝らしてみる。そこには、周囲の寒さに負けることなく、誇らしげに背を伸ばして育ったシロツメクサの茎があった。

激しい風に抗うように、けれどしなやかに揺れるその先にあったのは、なんと四つ葉のクローバーだった。

僕はそれを大切に摘み取り、スマホカバーの裏に、押し花のように忍ばせた。桃色のスマホケースに、鮮やかな緑の四つ葉。その色のコントラストを見た瞬間、頭の中でパッと音楽が弾けた。

ももいろクローバーZの『行くぜっ!怪盗少女』。「笑顔と歌声で、世界を照らし出せ」というフレーズと、あの「狙い撃ち」のポーズが脳裏を駆け巡る。今日、僕がこの四つ葉を見つけられたのは、目を守ってくれたこの曇り空のおかげだ。そして何より、僕に前を向くきっかけをくれた、あの人のミッションのおかげだ。

あの人は、僕にとって週末ヒロインどころじゃない。毎日、どんな時も、僕の心を救い出してくれる永遠のヒロインなのだから。

帰宅後、2日ぶりに筋トレを再開した。目の傷も、心の傷も、すぐには治らないかもしれない。けれど、今日という一日は、昨日よりも少しだけ自分を肯定できた気がする。

今日から、トレーニングメニューにスクワットを加えることにした。足腰を鍛え、一歩ずつ、一段ずつ。下を向いて見つけた四つ葉を力に変えて、また明日から、自分のペースで地面を踏みしめていこうと思う。

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