初めての道も一緒なら

Uncategorized

早く筋トレがしたい。早く健康な体で思いきり運動したい。
そんな気持ちが日に日に強くなっている。体が思うように動かない日が続くと、
以前は何も考えずにできていた動作が、どれほどありがたいものだったのか自然と気づかされる。
今は、朝の軽いストレッチさえできない。

そんな日々の中で、ふと頭に浮かぶのが、あの人と一度だけ行ったスポッチャでの時間だ。
どの種目から始めたのかは覚えていないけれど、いくつかのエリアを回っているうちに、
気づけば一日が終わっていた。

バドミントンでは、お互いぎこちなくて、ラリーが数回続くだけで嬉しかった。
上手く返すというより、「続いた」という事実が小さな達成感だった。

リズムゲームでは、あの人が正確にリズムを刻んでいて、楽器経験者らしい安定感があった。
僕もヴァイオリンの経験はあるけれど、複数の音に合わせるのが昔から苦手で、タイミングがずれることも多い。
それでも、横で淡々と動くあの人の姿を見ると、不思議と焦らずに続けられた。

そして、何より印象に残っているのがローラースケートだ。

スケート靴に足を入れた瞬間、足首が不安定で、思わず姿勢が固まった。
平日だったからか、リンクには僕たち2人だけ。
広い空間に流れる音楽と、スケート靴が床をこする音だけが響いていて、その静けさが余計に緊張を強くした。

横を見ると、あの人も同じようにガチガチに緊張していた。
その姿に、少しだけ肩の力が抜けた。

壁づたいに慎重に進むあの人は、初めての道を一緒に歩いているようで、自然と僕もペースを合わせて滑っていた。
壁に手を添えながら一生懸命前へ進もうとする姿は微笑ましくて、思わず「前に立って引っ張ってあげたい」と感じた。

しばらくすると、あの人の動きが少しずつ滑らかになっていった。
肩の力が抜け、足の運びも自然になり、その変化を横目で見ていると、自分の緊張までほどけていくようだった。

ざわめきの少ないリンクで、あの人がそばにいるというだけで、不思議と前へ進めた。
最後に気が抜けて派手に転んでしまったことも、今ではいい思い出だ。
あの静かなリンクで過ごした時間は、今でも鮮明に残っている。

思えばこれまでの人生でも、緊張する場面や不安な瞬間に、あの人の存在が心の支えになっていた。
「あの人がいてくれる」と思うだけで、胸の奥に小さな灯りがともるような感覚があった。
そんな存在に出会えたことは、本当に幸せなことだと思う。

スポッチャの思い出は、そのことを思い出させてくれる象徴のようなものだ。
あの人がいたから、緊張の中でも前へ進めた。
あの日の時間は、今の自分にとって大切な記録になっている。

だからこそ、これから先のことを考えるとき、ふと「またあの人と笑いながら体を動かせる日が来たらいいな」と思う。
無理に何かを求めるわけではない。ただ、あの日のように同じ空間で同じ方向を向けたら、それだけで十分だ。

今はまだ体が思うように動かないけれど、少しずつでも回復していけば、また新しい景色を見られる気がしている。
その希望を胸に、今日も胃を押さえながら、ゆっくり豆腐を食べている。

小さな一歩かもしれない。
でも、この積み重ねが、未来のどこかで新しい思い出につながっていくと信じている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました